10月1日のFreeプラン変更を受けて、比較する価値があるOneSignalの代替サービスは3タイプに分かれます。ユーザー規模(MAU)で課金するタイプ:Pushwoosh、PushEngage、Customer.io。営業への問い合わせでしか見積もりが出ないエンタープライズ向けスイート:Braze、CleverTap、MoEngage、Airship、Insider。メッセージ件数で課金する通知インフラ:Knock、Courier、SuprSend、Novu、MagicBell、Engagespot。Firebaseはこれら全ての土台にあたる存在で、無料です。
この記事はLINE公式アカウントを比較対象に含めていません。LINE公式アカウントはプッシュ通知と併用する補完チャネルであり、Push・アプリ内メッセージ・セグメント配信・カスタマージャーニー自動化を担う基盤そのものではないためです。
料金は2026年8月31日時点で確認したものです。
10月1日、OneSignalで何が変わるか
OneSignalがFreeプランに上限を設けました。モバイルプッシュとアプリ内メッセージは、月間アクティブユーザー(MAU)1,000人未満であることが条件になります。新規アカウントは2026年9月1日から、既存アカウントは10月1日からこの上限に達します。アップグレードせずに超過すると、この2チャネルはGrowthプラン(月額$19+MAUあたり$0.012)に移行するまで配信が停止します。WebプッシュとメールはFreeのままです。
この閾値は、多くのチームが想定するよりも早く到達します。MAUとは、プッシュ通知の受信をオンにしているかどうかに関わらず、過去30日以内にアクティブだったモバイル購読のことです。カウントはアプリごとではなく、アカウント配下の全アプリを合算します。しかも30日間の判定期間は常にスライドするため、ユーザー数を絞っても1か月の猶予を得られるだけで、恒久的な解決にはなりません。
カウント方法を含む詳細なメカニズム: OneSignal 2026年のFreeプラン変更内容。
比較方法について
基準は1つ:料金変更後、同じ規模のユーザーに対して実際にいくらかかるかを1,000MAUと1万MAUで測定し、無料プランの上限も併記しました。
単純に見えて、実際にやってみるとそうではありません。この記事で扱う20サービスのうち、ユーザー規模に応じた公開料金があるのはわずか4社です。残りは別の単位(購読者数、プロフィール数、メッセージ件数)で課金するか、営業への問い合わせでしか料金が分かりません。そのため一覧表には、横並びで比較できるこの4社のみを掲載しています。それ以外のサービスは、実際に請求される単位でそれぞれ個別のカードにまとめました。MAU換算の推測値は使っていません。作った数字より「課金方法が違う」と正直に書くほうがましだからです。
直接比較できる4サービス
| サービス | 1K MAU | 10K MAU | 無料プラン | チャネル | モバイル/Web |
|---|---|---|---|---|---|
| Pushwoosh | $0 | $63/月 | 毎月最初の1,000 MAUが無料 | Push、アプリ内、Webプッシュ、メール、SMS、WhatsApp、Wallet | 両方 |
| OneSignal | $31/月 | $139/月 | 1,000 MAU未満(モバイルプッシュ、アプリ内);WebプッシュとメールはUnlimited | Push、アプリ内、メール、SMS | 両方 |
| PushEngage | ~$9/月 | ~$19/月 | 購読者200人、月30キャンペーン | Webプッシュ、Appプッシュ、SMS | 両方、Web中心 |
| Customer.io | 月額最低$100 | ~$145/月 | なし(調達額$10M未満のスタートアップは12か月無料) | メール、Push、アプリ内、SMS、Webhook | 両方 |
残り15サービスがこの表にないのは、数字を作らずに1,000MAUあたりの料金へ換算できないためです。それぞれ、実際に請求される単位のまま下の個別カードで料金を紹介しています。
全20サービス:料金とポジショニング
Pushwoosh
- こんな企業に向いている: エンタープライズ価格を払わずにオムニチャネルを実現したいモバイルファーストのチーム。
- 料金モデル: ユーザー規模(MAU)課金。
- 料金: プッシュのみなら1,000 MAUあたり$7。1Kで$0、10Kで$63/月。オムニチャネルは1,000 MAUあたり$13、メールのみは1,000通あたり$5。
- 無料プラン: 毎月最初の1,000 MAU。
- セキュリティ認証: SOC 2 Type IおよびISO 27001:2022を取得済み、GDPR準拠、EUと米国にデータセンターを保有 — 情シス審査で第三者認証の提示を求められた際の説明材料になります。
- OneSignalに勝る点: 行動ベースのセグメンテーション、RF(M)分析、そしてPush・アプリ内・メール・SMSが1つのキャンバス上で動く可視化されたCustomer Journey Builder。OneSignalはタグベースのセグメントと線形の自動化にとどまります。
- Pushwooshが最適でないケース: Webプッシュのみが目的なら、専用のWebツールのほうが安く済みます。マーケティングレイヤーが不要でインフラだけが必要な場合はFirebaseで十分です。
- 移行: プッシュトークンはアプリ自体に紐づくため、インポートしたiOS・Androidデバイスは初日から動作します。完全な移行は通常、数週間ではなく数日で完了します。
PushEngage
- こんな企業に向いている: Webプッシュを主軸とするパブリッシャーやECサイト。
- 料金モデル: 購読者数課金。
- 料金: Businessプランは(年払いで)約$9/月から、購読者数に応じてスケール。固定料金帯は約$8〜24。
- 無料プラン: 購読者200人まで。
- OneSignalに勝る点: 予測しやすい固定の購読者料金帯と、Webプッシュの深い機能(カゴ落ち、値下げ通知、在庫連動の自動化)。
- Pushwooshが最適でないケース: モバイルアプリのエンゲージメントやオムニチャネルのジャーニーが主目的なら、PushEngageはカバー範囲が狭くなります。
- 移行: Webのオプトインを再取得する必要があります。購読情報は送信元ドメインのservice workerに紐づいており、移行はできません。
Customer.io
- こんな企業に向いている: エンジニアリングリソースがあり、イベント駆動型メッセージングを活用するプロダクト主導型のSaaS企業。
- 料金モデル: プロフィール数課金。
- 料金: Essentialsは5,000プロフィールで月額$100から、追加プロフィールは1件あたり**$0.009**。Premiumは年払いで月額$1,000から。
- 無料プラン: なし — 14日間の無料トライアル、スタートアッププログラム(調達額$10M未満なら1年間無料)。
- OneSignalに勝る点: きめ細かいイベントトリガーと柔軟なワークフロービルダー。
- Pushwooshが最適でないケース: プロフィール課金は非アクティブな連絡先もカウントされるため、休眠ユーザーが多い大規模B2Cでは、実際には配信していないユーザー分まで料金を払うことになります。
- 移行: 比較的重め — データモデルとイベントのマッピングが必要なため、開発リソースの確保が必要です。
Firebase Cloud Messaging(FCM)
- こんな企業に向いている: 配信パイプのみが必要で、その上のレイヤーは全て自社で構築する開発者。
- 料金モデル: 無料のインフラ。
- 料金: どんなボリュームでも**$0**、配信クォータなし。
- 無料プラン: 無制限の配信。
- OneSignalに勝る点: コストのみ、それ以外はありません。OneSignal(およびこの記事の全サービス)が配信に使っているトランスポート層そのものです。
- Pushwooshが最適でないケース: マーケティング担当者であれば、ほぼ常にこちらに該当します。FCMには行動セグメンテーション、スケジューリング、ジャーニー、A/Bテスト、ユーザープロフィール、配信後の分析が一切ありません。全て自前で構築する必要があります。
- 移行: 切り替えではなく構築です。$0で買えるのは配信機能であり、キャンペーンシステムではありません。
Braze
- こんな企業に向いている: 大規模にリアルタイムパーソナライゼーションを運用する大企業。
- 料金モデル: 見積もり制。
- 料金: カスタム、公開レートなし。高価格帯に位置付け。
- 無料プラン: なし。
- OneSignalに勝る点: クロスチャネルのオーケストレーション、リアルタイムデータ、エンタープライズ級のセグメンテーション。
- Pushwooshが最適でないケース: エンタープライズ規模の広さが必要で、予算と導入チームが確保できるなら、Brazeはまさにその規模向けに作られています — Pushwooshはより軽量で立ち上げも速いです。
- 移行: 導入負荷が大きく、サービスチーム主導の展開が想定されます。
CleverTap
- こんな企業に向いている: 分析への依存度が高いゲーム・EC分野のモバイルファーストアプリ。
- 料金モデル: 大半が見積もり制(エントリー向けの1プランのみ公開)。
- 料金: 公開料金なし、営業主導。
- 無料プラン: トライアルのみ。
- OneSignalに勝る点: 行動分析の深さとジャーニー自動化。
- Pushwooshが最適でないケース: 分析が事業の中心で、メッセージングと密に統合したい場合、CleverTapが得意とする領域です。
- 移行: SDK差し替えとイベント再マッピング、中程度の作業量。
MoEngage
- こんな企業に向いている: インサイト主導のエンゲージメントを求めるミッドマーケット〜エンタープライズ企業。
- 料金モデル: 見積もり制。
- 料金: カスタム。
- 無料プラン: トライアルのみ。
- OneSignalに勝る点: 行動ベースのスコアリングとマルチチャネル対応(Push、アプリ内、メール、SMS、Web)。
- Pushwooshが最適でないケース: 銀行、メディア、EC分野などデータ活用に力を入れるチームで、AI支援のインサイトを組み込みたい場合に強みを発揮します。
- 移行: データ連携が最も時間のかかる工程です。前もって計画してください。
Airship
- こんな企業に向いている: モバイル施策が成熟し、コンプライアンス要件があるエンタープライズ。
- 料金モデル: 見積もり制。
- 料金: カスタム、公開レートなし。
- 無料プラン: なし。
- OneSignalに勝る点: エンタープライズ向けメッセージングガバナンスとチャネルの広さ。
- Pushwooshが最適でないケース: 重量級のエンタープライズ統制と、それに見合う予算が必要な場合、Airshipはそのために作られています。
- 移行: エンタープライズオンボーディング、サービスチーム主導。
Knock
- こんな企業に向いている: アプリ内・Push・メール・Slackを横断する通知をインフラとして扱いたいプロダクトチーム。
- 料金モデル: メッセージ単位課金。
- 料金: メッセージあたり$0.005、月10,000件まで無料、以降は50,000件ごとに約$250。
- 無料プラン: 月10,000メッセージ。
- OneSignalに勝る点: 開発者体験の良さと、設定管理を含む統一された通知API。
- Pushwooshが最適でないケース: KnockはAPNs/FCMへルーティングする役割で、マーケティングプラットフォームではなく、Push自体を配信するわけでもありません。マーケター向けのキャンペーンUIはありません。
- 移行: マーケティング移行ではなく、エンジニアリング統合です。
SuprSend
- こんな企業に向いている: ワークフローレイヤー付きの通知APIを求める開発チーム。
- 料金モデル: メッセージ単位課金。
- 料金: メッセージ単位、開発者向け無料枠あり。
- 無料プラン: あり(開発者向けプラン)。
- OneSignalに勝る点: マルチチャネルのルーティングとシンプルなAPI。
- Pushwooshが最適でないケース: APNs/FCMへルーティングし、キャンペーンチームではなくエンジニア向けに設計されています。
- 移行: エンジニアリング統合。
Courier
- こんな企業に向いている: 1つのAPIからチャネル横断でトランザクション通知をオーケストレーションするチーム。
- 料金モデル: メッセージ単位課金。
- 料金: メッセージ単位の公開レート、ユーザー規模ベースの数字はなし。
- 無料プラン: あり、現在のメッセージ許容量は要確認。
- OneSignalに勝る点: トランザクションルーティングと、特定プロバイダーに依存しないAPI。
- Pushwooshが最適でないケース: マーケティングプラットフォームではなく、マーケター向けのキャンペーンビルダーもありません。
- 移行: エンジニアリング統合。
Novu
- こんな企業に向いている: セルフホストまたはクラウドで運用できるオープンソースの通知フレームワークを求めるチーム。
- 料金モデル: メッセージ単位 / セルフホスト。
- 料金: クラウドはメッセージ単位課金で無料枠あり、セルフホストは運用自体は無料(インフラ費用のみ発生)。
- 無料プラン: あり(オープンソースのセルフホストも含む)。
- OneSignalに勝る点: インフラ層でのコントロールとコスト、ベンダーロックインなし。
- Pushwooshが最適でないケース: セルフホストとは、稼働率・スケーリング・マーケティングレイヤーを全て自社で担うことを意味します — それがコントロールを得る代償です。
- 移行: フレームワーク自体を自社で構築、エンジニアリングチームの責任範囲。
その他検討したサービス
網羅性のため、それぞれ1行で紹介します:
- Repro(リプロ) — 国内特化・サポート密着型。国内向けアプリ運用には強いが、海外展開やグローバルインフラを前提とした比較にはこの記事のサービスの方が適しています。
- KARTE(カルテ) — Web接客・CX全般に強みがあり、モバイルプッシュ/オムニチャネル配信が主軸の本比較とは目的が異なります。
- Insider — エンタープライズ向けエンゲージメントスイート、見積もり制のみで多くのランキングに登場。
- Vero — 行動ベースのメールとPush、規模は小さめで開発者フレンドリー。
- MagicBell — 通知インボックスAPI、メッセージ単位課金、キャンペーンツールではない。
- Engagespot — 通知API、メッセージ単位課金、開発者向け。
- PushBase — 軽量なセルフホスト型(引用前にモバイルプッシュ対応を要確認)。
- Pushly — パブリッシャー向けのWebプッシュプラットフォーム。
- Firepush — Webプッシュのみ、意図的に機能を絞っている。
LINE公式アカウントでOneSignalの代わりになりますか
なりません。LINE公式アカウントは日本のユーザーに非常に効果的な補完チャネルですが、Push・アプリ内メッセージ・セグメンテーション・カスタマージャーニー自動化を担うものではありません。実務では、この記事で比較したサービスのいずれかでPush/アプリ内/メールを運用し、LINEは追加チャネルとして併用するのが一般的な構成です。
どのOneSignal代替を選ぶべきか
MAUが1,000人未満でそこに留まっているなら、Freeプランでまだ十分です。今すぐ移行する必要はなく、Pushwooshでも最初の1,000は無料なので、来年また同じ比較をしたくない場合の選択肢にもなります。
MAUが1,000人を超え、Pushが主要チャネルの場合:Growthの請求額は$19+MAUあたり$0.012、Pushwooshは1,000あたり$7です。ユーザー規模が大きくなるほど差は開きます。
アプリはなく、WordPressやShopifyでWeb購読者のみを管理:PushEngage。
メールが配信量の大半を占めるイベント駆動型メッセージング:Customer.io。
エンジニアはいるがマーケティングレイヤーは不要、コストを最優先:Firebase。
ポリシーやライセンス上の理由でセルフホストが必須:Novu。
キャンペーンではなく、自社バックエンドから発火するプロダクト通知:Knock。
情シス審査を通す必要がある場合、SOC 2 Type IやISO 27001:2022などの第三者認証の有無は稟議資料として重要な材料になります。この記事で比較した各サービスについて、認証の有無を営業担当に直接確認することをおすすめします。
判断を左右する要素は2つです。まず、OneSignalのFreeプランで実際に何が変わったのか — 1,000 MAUという上限が、こうした検索が発生する直接の理由です。次に、自社のユーザー規模に当てはめた実際の数字。OneSignalコスト計算ツールでは、Growthプランのコストと同じ規模でのPushwooshのコストを並べて確認できます。移行を決めた場合は、移行ガイドでトークンのインポートとSDKの差し替え手順を、詳細比較ページでこの記事では触れていない詳細を確認できます。
自社のユーザー規模がPushwooshでいくらになるか確認する:計算ツールを試す。
よくある質問